千葉県袖ケ浦市周辺の生物など

千葉県袖ケ浦市や内房エリアの動植物のお話など。鉄道やヒコーキもあります。

サワガニ(観察ポイントC5報告編)

<編集履歴> 2020年10月09日公開、2023年6月28日見直し更新(第9回目、2023年6月27日の様子を追加)

 

 JR内房線長浦駅から内陸側に約2kmほど入ったあたりにある高台の脇から水が滲みだしており、ここに数匹のサワガニが生息している。ここを観察ポイントC5と命名しよう。私自身の散歩コースの途中にあるので、「定点観察」した結果を紹介してみよう。なお”散歩”を含め、”生物の写真撮影”を真剣に始めたのはコロナ禍により外出制限が生じた2000年春ごろからのことだ。それより前(2019年シーズンより以前)のことは分からないということを明確にしておく。また「定点」以外の袖ケ浦市内(および他の場所)で見つけたサワガニの話は別項「サワガニ(市内各地、その他)」の記事にまとめるので、こちらも参照ください。

サワガニ(市内各地、その他) - 千葉県袖ケ浦市周辺の生物など

【サワガニの色について】

 サワガニには食用に鮮魚店(最近ではスーパーの鮮魚コーナーというべきか)売っている赤黒いもののほか、青白いもの、茶色いものなど概ね三種類がいる。これら3種類の中間あたりの色合いとして紫がかったものも存在していて、四番目の色合いとして「紫色」と表現することもあるようだ。サワガニの体色の遺伝学的な話、生化学的な話、分布に関する話などは、それぞれ研究論文や個人の観察結果のまとめなどがネット上にありますので探してみてくださいな。ここでは当面は「散歩の途中でサワガニがいたよ!」程度の話にしておきます。また本Blogではおおむねこの4種類の色合いで分類して呼ぶことにします。だけど「赤黒い個体」「青白いカニ」「茶色系」など、その表現は一定ではないですね。当面は記入する際の”気分”で書き分けるけれど数年後に見直すことになるだろうと思ってます。まぁ、”かる~く”行きましょう。

 

【2020年の状況】

 さて初めてこの場所を見つけた2020年6月中旬ごろのこと。ここには甲幅5mm程度の稚ガニから35mm程度の大きなものまで、体色は青白いものと赤黒いものが合わせて10匹程度のサワガニが生息しており、クレソンなどの草も生えていたが比較的容易にカニを見つけることができる状態だった。発見当時は”おぉっ!こんな所にもサワガニがいるんだっ!!”と素直に驚いたものだ。

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写真1 やや黒っぽいが青白色のサワガニ。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/250秒, f=7.1。内蔵ストロボ使用、手持ち撮影、トリミングあり。2020年6月16日、千葉県袖ケ浦市

  

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写真2 赤黒色のサワガニ。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/250秒, f=7.1。内蔵ストロボ使用、手持ち撮影、トリミングあり。2020年6月16日、千葉県袖ケ浦市

  

 この水場周辺には何らかの動物が生息している。獣道のようなものが数か所見られ、落ち葉を引っ掻き回し、踏み荒らしている跡がときどき観察されている。ちなみに別稿に記すインドクジャクやナナフシモドキ・トゲナナフシを見つけたのもこの近くだ。この「正体不明」の生物(イノシシか?)に食べられたのか、それとも時期が来て脇の山林(高台なので雑木林)の落葉の下に隠れたのか、7月になってからは甲幅が10mmを超えるようなカニはまったく見られなくなってしまった。8月23日と9月27日に甲幅5-7mm程度の稚ガニを見かけたが、それっきり姿が見られない状態が続いていた。一方で7月後半ごろには水場から3-40mほど離れた竹林の落ち葉の下で甲幅25mm程度の青白色個体を見つけている。秋が深まるとカニ達は水場周辺に戻ってくるのだろうか。それとも正体不明の生物にすべて食べられてしまったのだろうか?これが散歩途中の本観察点におけるテーマとなった。

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写真3 赤黒色のサワガニ。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/250秒, f=7.1。内蔵ストロボ使用、手持ち撮影、トリミングあり。2020年6月16日、千葉県袖ケ浦市

 

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写真4 赤黒色のサワガニ。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/250秒, f=9.0。内蔵ストロボ使用、手持ち撮影、トリミングあり。2020年6月26日、千葉県袖ケ浦市

 

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写真5 青白色のサワガニ。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/250秒, f=8.0。内蔵ストロボ使用、手持ち撮影、トリミングあり。2020年6月18日、千葉県袖ケ浦市

 

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写真6 青白色のサワガニ。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/250秒, f=7.1。内蔵ストロボ使用、手持ち撮影、トリミングあり。2020年6月16日、千葉県袖ケ浦市

 

【2021年の状況】

 4月8日に主たる観察ポイントから30mほど離れた湧水のある場所で甲幅7mm程度の稚ガニを1匹見つけた。

 4月末には観察ポイントは引っ掻き回されたまま、クレソンに覆われたままになっており、カニの姿は確認できなかった。昨年(2020年)6月ごろにはいくつか見られた「カニ穴」も確認できていない。「正体不明の生物」に全て食べつくされてしまったのだろうかと思う。

 5月30日の訪問時にサワガニは確認できなかった。水路にはびこったクレソンや雑草は全て引き抜かれて処理されていた。水路の土砂も除去され、周辺もキレイに清掃されていた。

 6月22日には上述4月8日に稚ガニを見つけた場所で甲幅5-7mm程度の稚ガニを一匹発見したが、メインの観察ポイントではカニを見つけることはできなかった。

 8月21日に再訪すると「謎の生物」にまた荒らされていたが、甲幅5-7mm程度の稚ガニを一匹発見した。大きく育つのか?育つと「謎の生物」に捕食されてしまうのだろか?

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写真7 久々にみつけた甲幅5-7mmほどの稚ガニ。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/200秒, f=8.0。内蔵ストロボ使用、手持ち撮影、トリミングあり。2021年8月21日、千葉県袖ケ浦市

 

 9月12日には甲幅25mm程度のやや黒っぽい青白色系の個体を見つけた。しかもよく見るとお腹に稚ガニを抱えている!大きく育ってくれると見ている方としては嬉しいのだけどなぁ!

10月15日に甲幅7mm程度の赤黒系の稚ガニを一匹見つけたが、これが2021年シーズン最後の観察例となった。

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写真8 腹に稚ガニを抱えた甲幅25mmほどのやや黒っぽい青白色系のサワガニ。体色の系統は写真1と同じ仲間か。稚ガニを少しでも見せるため、やや大きめの横680ピクセルで掲載する。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/250秒, f=8.0。内蔵ストロボ使用、手持ち撮影、トリミングあり。2021年9月12日、千葉県袖ケ浦市

 

【2022年以降の状況】

 2021年末から2022年早春までの間に一部の土砂がよけられ、水路(流路)が明確になっていたが、4~5月にかけて、また水路(流路)は土砂に埋もれクレソンが生い茂っていた。1月から4~5月の間に最低でも2回は「正体不明の生物」によって水路周辺がほじくり返され、荒らされていた。4月7日には赤黒系の甲幅7~8mm程度の稚ガニを一匹みつけた。

 さて、この観察場所(およびその周辺)は数か月に一度は「正体不明の生物」に荒らされることから2020年のように比較的大型のサワガニを継続して発見することは困難ではないかと考えるようになった。袖ケ浦市内において他の場所でもサワガニの生息を確認しているので、散歩途中での定点観察は続けるものの、その時間は短縮して他の場所での観察に当てることを考えている。(2022年5月9日記)

8月24日に再訪。水路の泥は浚渫され整備されていたが、「ひづめのある正体不明の生物」により最近荒らされたばかりであった。しばらく観察してみたがカニもその他の生物も確認できなかった。

 これ以降、秋から2023年3月20日まで何度かこの場所を訪問しているが、サワガニは全く確認できなくなっている。冬季に姿が見られないのは仕方がないとして、2022年9~11月頃の晩秋シーズンに全く見られなかったことから、この場所では全滅したのではないかと考えている。現在までのところ、2022年4月7日に稚ガニ一匹を見つけたのが最後となっている。

写真9 2022年になってから初の発見事例。この場所での最後の発見事例でもある。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/250秒, f=8.0。内蔵ストロボ使用、手持ち撮影、トリミングあり。2022年4月7日、千葉県袖ケ浦市

 

【2023年】

前述の通り3月20日まではカニの姿を確認していない。

2023年5月15日にこの場所を訪問したところ、岩の隙間から出る水量が減り、広範囲からにじみ出るようになっていた。このため「小川」が姿を消し、エリア全体が湿った落ち葉で覆われ、下流側の一部にクレソンが生えているような状況となっていた。カニ穴は見つけられず、周辺でカニが生息しているような様子は確認できなかった。

しかしこの「小川」が側溝に流れ込む付近とその道路沿い周辺にいくつかカニ穴と思われる小さな穴をみつけた。本当にカニ穴だろうか?

2023年6月10日、上記の「道路沿い」の斜面にてサワガニを発見!同時に「小川」が側溝に流れ込むあたりの「カニ穴」の数が増え、かつその大きさにも大小の広がりを見せていることを確認した。ここは元の「定点観測場所」からは「20mほど下流域」となるが、カニは元の場所まで「小川」を遡って生息域を拡大していくのだろうか?しばらくはまた観察を続けていこうと考えている。

写真10 観察ポイントC5の下流域/道路沿いにてサワガニを発見!甲幅は2cm程度だろうか。比較的大きな個体だった。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/250秒, f=8.0。内蔵ストロボ使用、手持ち撮影、トリミングあり。2023年6月10日、千葉県袖ケ浦市

以上