千葉県袖ケ浦市周辺の生物など

千葉県袖ケ浦市や内房エリアの動植物のお話など。鉄道やヒコーキもあります。

ハラビロトンボ

<編集履歴>2021年5月2日公開、2023年6月8日見直し更新(第4回目、生息地消失)

 

 2021年5月1日(土)、近所の田んぼでは田植えもほぼ終わり(まだ1枚、田植え中だったが)、あぜ道ではカエルが合唱中。田んぼ脇の水路ではムギワラ色のトンボが打水産卵中。おや、もうムギワラトンボ(シオカラトンボの雌)の産卵か?と思って眺めていたら、どうも腹幅が広く、長さが短いように見える。「これは別種だ!」と撮影に挑戦。

帰宅後、図鑑を眺めるとハラビロトンボLyriothemis pachygastraのメスのようだ。ということは周囲にいた”シオカラトンボ”はじつはハラビロトンボの雄だったか。コイツはまだ撮影したことがないので、そのうち撮影にトライしてみよう(注1、最下段参照)。

 さて、ハラビロトンボの雌の写真撮影に際してはピントはマニュアルモードにしておき、打水産卵のために水面上でホバリング中の個体を狙う。一か所あたり3回ほど打水するので、移動してきた個体が2回打水するまでにピントを合わせ3回目でシャッターを押す操作を繰り返してみた。その結果、10数枚撮影したうちの一枚にピントが合っていた。「見られる写真が1枚あれば良いのだっ!」

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写真1 打水産卵のためホバリング中のハラビロトンボの雌。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO200, 1/1,000秒, f=6.3、手持ち撮影、トリミングあり。2021年5月1日、千葉県袖ケ浦市久保田

 

 2021年6月、福岡県の航空自衛隊築城基地に着陸する戦闘機の写真を撮るため滑走路西方の空地に行くと数多くのハラビロトンボが舞っていた。

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写真2 ハラビロトンボ(メス)。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/250秒, f=9.0、手持ち撮影、トリミングあり。2021年6月24日、福岡県築城基地

 

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写真3 正面から見たハラビロトンボの未成熟オス。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/400秒, f=8.0、手持ち撮影、トリミングあり。2021年6月24日、福岡県築城基地

 

写真4 ハラビロトンボの未成熟オスをもう一枚。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/250秒, f=9.0、手持ち撮影、トリミングあり。2021年6月24日、福岡県築城基地

 

写真5 ハラビロトンボの成熟したオスは青黒い色になる。5月初旬には成熟するのですね。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/250秒, f=8.0、手持ち撮影、トリミングあり。2022年5月6日、千葉県袖ケ浦市久保田

 

【注1:生息地なくなる】

 写真1と写真5を撮影した田んぼは2022年には田植えがされず、2023年も荒れたまま。近所の人にうかがったところ、所有者は高齢のため農業(田んぼの管理)をやめたそうだ。私の散歩コースでハラビロトンボをみつけたのはここだけだったので、もう見られなくなってしまった。なお2019年シーズンから2023年シーズンまでの間に、私の散歩コースにある田んぼの面積は1/3程度にまで激減してしまった。その理由を近隣の住人などに伺ってみたところ、上記と同様に高齢化により継続できなくなったり、工場に務める息子などに引き継いだが、やはり継続できなかったという話を耳にしている。現状では荒れたままだが、10年もすれば宅地化されたり工場が誘致されるのだろう。昭和40年代ごろ(1965-1975年ごろ)、東京の杉並区の荻窪-高円寺-永福町-浜田山周辺にはまだ畑や雑木林が残っていたが、あっという間に潰されて住宅になっていった。そのスピードに比べれば緩やかなものだろうが、ここも変わっていくのだろうなぁと感じている。(2023年6月8日記)

以上