千葉県袖ケ浦市周辺の生物など

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ナナフシモドキ(その2、2021年対応版)

<編集履歴> 2021年05月02日公開、2022年8月17日見直し更新(第7回目、2021年シーズン最後に見つけた個体の記述を修正)

 

 2021年もナナフシをみつけられないだろうか?

 一般的に草食で動きが緩慢な生物は多くの卵を産み、多くの幼虫が孵るけれど、捕食されてドンドン数を減らすので成虫になるほど見つかる確率が低くなる。逆を言えば幼虫の頃は数が多いので見つけやすくなる。そしてあまり移動しない虫なので、一度見つければ、あとは「定点観測」していれば、発見する確率は高くなることだろう。

 そう考えて3月下旬の暖かい日が続いた頃から、昨年ナナフシ類を見つけた場所の近辺を重点的に観察を続けていたところ、4月中に4か所でナナフシモドキの幼虫を見つけることができた。6月3日までには合計12か所ほどの生息場所を確認している。

 20-25mm程度の頃には一か所(一つの食樹)に密になっていることが多かったが、5月末頃にはそれまでに沢山いた場所の周囲(最大7~8m程度離れた場所)で35-50mm程度の個体がも1匹2匹と見つかるようになった。止まっていた草本ドクダミ、アオキ、アケビ、アカガシワ、クズなど様々だ。食草ではなく、移動途中で休んでいる場合もあることだろう。成長するにつれて活動範囲を広げているに違いない。

 6月中旬には大多数が私の指の幅四本分(75mm程度)の大きさとなり、また5月末ごろに多数の幼虫がたかっていた草本(主にアカガシワ)には一匹も見られなくなった。同時にこれまでせいぜい高さ2m程度までの場所に多数いたものが、この高さではあまり見られなくなった一方で、高度3m程度以上の近隣の樹木の幹などで見つけることも増えてきた。活動範囲が水平方向だけでなく、垂直方向にも広がったのだろう。一度の散歩で見られる個体数も減ってきた。5月末頃(体長35mm程度の時)には一度の散歩で複数の生息場所で見つけた個体数の合計が20匹を超えることもあり、「へっ!ナナフシモドキを見つけるなんて楽勝だぜぃ!」と思っていたのだが、その後は一日で見つけられる個体数がせいぜい8匹程度にまで落ち、7月に入ると見つけることができなくなってしまった。2021年8月21日に脚が3本取れた成虫を見つけたのがシーズン最後となった。

 昨年も6月末以降にはナナフシモドキを見つけることができなかったが、活動範囲が広がって(特に高さ方向)、目につかなくなったことが大きな原因かと考えている。

 上述の通り昨年は6月末以降に見つけることができなかったので、それ以降の時期に見つけることが今年のテーマでもあったのだが、8月21日に一匹を見つけられたので自己記録の延長に成功はした。

 さてネット情報では秋に成熟して産卵するという記述があるので10月ごろまでは生息しているハズだ。一方で植樹として桜の樹が挙げられているが、千葉県袖ケ浦市長浦駅周辺の桜の樹は9月中旬には落葉してしまう。やつらはその後、晩秋までどこで過ごすのだろうか?成長して垂直方向に移動した個体は桜の落葉とともに地表に下りてきて、新たな食草を探すのだろうか?これを知ることも今後のテーマの一つだ。

 

<桜の樹ポイント>

 2021年4月中旬に新たに見つけた生息場所の一つは若い桜の樹であり、横3m奥行1m程度の範囲に最大21匹(21匹数えてダブルカウントしそうになって止めた)を確認した。場所によってはカメラフレーム内に6匹(脚だけを含む)が入るくらい”密”な場所もあったが、4月18日に大風が吹いた際には1匹だけしか見つけることができず、翌日以降に1~2匹程度を都度発見、5月1日には真剣に探したが一匹も見つからないという状況になっていた。その後、5月末までに数回訪問したが、最大でも一度に3匹しか見つけることができず終わった。

<出会いの場所>

 2021年5月末までに2020年にナナフシモドキを見つけた4か所の全てで複数のナナフシモドキを発見した。そのうち12年ぶりにナナフシモドキ(複数)を見つけたと昨年喜んでいた場所(1か所)では4月末時点で食草となりそうな草本は生えておらず、殺虫剤や除草剤を撒いたようにも思えない場所だ。どうしてここで発生していたのか不思議に思っている。

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写真1 新たに見つけた場所ではナナフシモドキの幼虫(全長20-25mm程度)が沢山いて大喜びしていたのだが、数日後に大風が吹き荒れた後には全く見つけられなくなってしまった。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO200, 1/250秒, f=8.0。内蔵ストロボ発光、手持ち撮影、トリミングあり。2021年4月7日、千葉県袖ケ浦市久保田

 

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写真2 接写可能なコンデジで撮影。Pentax Optio WG-1、ISO400、1/125秒、f=3.8、手持ち撮影。トリミングあり。2021年4月3日、千葉県袖ケ浦市久保田 

 

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写真3 枯れ枝に登ろうとしていたナナフシモドキの幼虫(全長20-25mm程度)。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/250秒, f=11。内蔵ストロボ発光、手持ち撮影、トリミングあり。2021年4月24日、千葉県袖ケ浦市久保田

 

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写真4 ナナフシモドキの幼虫(全長32-35mm程度)。3令と考えておこう。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/250秒, f=8.0。内蔵ストロボ発光、手持ち撮影、トリミングあり。2021年5月16日、千葉県袖ケ浦市久保田

 

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写真4 2021年シーズンで初めて見た褐色個体(全長32-35mm程度)。3令ごろから緑色個体と褐色個体が生ずるのか、これまでに見つけたのがたまたま緑色個体だけだったのか??EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/250秒, f=9.0。内蔵ストロボ発光、手持ち撮影、トリミングあり。2021年5月16日、千葉県袖ケ浦市久保田

 

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写真5 脱皮中のナナフシモドキ。脱皮後の全長は70mm程度(人差し指から小指までの指4本分プラス2mm程度)。写真は掲載しないけれど、50mmクラスの褐色個体が目につくようになってきた。また脚が1~2本欠落した個体を目にすることも増えてきた。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/160秒, f=8.0。内蔵ストロボ発光、手持ち撮影、トリミングあり。2021年6月2日、千葉県袖ケ浦市久保田

 

2021年6月21日、かつては50mm程度の幼虫が10匹近くいたひこばえの茂みを探したが一匹も見つからなかった。「みんなどこに行ってしまったのやら」と思いつつ、ふと上を見ると、4mほどの高さのところで一匹が脱皮中だった。「こんな上の方で脱皮していたんかぁ!」。脱皮後の大きさは100mm程度だと思います。

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写真6 地表からの高さ4m程度のところで脱皮中。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/250秒, f=8.0。内蔵ストロボ発光、手持ち撮影、トリミングあり。2021年6月21日、千葉県袖ケ浦市久保田

 

 2021年7月13日には指5本分プラス5mm程度(105mm程度)の大きな個体を某神社の桜の樹の根元で見つけた。完全成体だろう。これまでで見つけた個体の中では最大級の大きさのものだった。

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写真7 体長105mm程度の大きな個体。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/160秒, f=8.0。内蔵ストロボ発光、手持ち撮影、トリミングあり。2021年7月13日、千葉県袖ケ浦市久保田

 

同じ7月13日、ツツジの植樹に張られたクモの巣には細長い脚が4本残っていた。この時期にこれだけ細長い脚を持つ生物はナナフシ(ナナフシモドキ)以外には考えにくい。

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写真 クモの巣に残る4本の細長い脚。おそらくはナナフシモドキのものだ。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/160秒, f=8.0。内蔵ストロボ発光、手持ち撮影、トリミングあり。2021年7月13日、千葉県袖ケ浦市久保田

 

2021年8月17日には、とある高台で指5本分プラス5mm程度(105mm程度)の褐色個体を見つけた。

 

2021年8月21日に脚が3本取れた成虫を見つけた。これが今年のシーズン中に最後に見つけた個体となった。また昨年・今年の中でも最も遅い時期に見つけた個体となった。

 

【その他のナナフシ】

<ニホントビナナフシ>

2020年に初めて天然物の群集落を発見するも秋口に見られなくなった二ホントビナナフシ。2021年のシーズンには7月20日になって、ようやく1匹見つけた。その後は9月27日に別な場所で見つけているが、発見したのはこの2例だけで終わった。

<トゲナナフシ>

2020年に初めて天然物を見つけた。2021年は11月8日に1匹、11月21日に別な場所でもう1匹を見つけている。その他、11月13日に箱根登山鉄道大平台駅前で踏みつぶされた個体を見ている。トゲナナフシは秋になると樹木の根元や庭石にいるのが見られるという記述があるが、秋口に見やすい場所に移動するのは何らかの意味があるのだろうか?

<タイワントビナナフシ>

 2020年に1匹だけ見つけたタイワントビナナフシ。2021年に「房総のむし」誌にその発見報告を掲載できたこともあり、2021年シーズンは文字通り「目を皿のようにして」探したつもりだが、ついに見つけることはできなかった。

以上