千葉県袖ケ浦市周辺の生物など

千葉県袖ケ浦市や内房エリアの動植物のお話など。鉄道やヒコーキもあります。

ハラビロカマキリ

<編集履歴> 2021年1月15日公開、2023年12月17日 見直し更新(第5回目、写真追加)

 

 ハラビロカマキリHierodula patelliferaも袖ケ浦市でよく見られるカマキリの一種だ。大きさはコカマキリよりやや大きく、オオカマキリの2/3くらいの大きさといったところか。横幅はオオカマキリと同じ程度なので、「寸詰まりのカマキリ」という感じがある。幼虫はピンとお尻を持ち上げていることが多い。例年お盆を過ぎたころから成虫を見つけている(2022年は8月22日にみつけた)。

 ハラビロカマキリにはハリガネムシが寄生していることが多いというネット上の書き込みがあるが、私自身は確認したことはない。

 1970年前後ごろに実家のある東京都杉並区の和田堀公園付近で昆虫採集をするとオオカマキリ(区別できなかったのでチョウセンカマキリも含まれるかもしれない)とコカマキリが主体でハラビロカマキリは「貴重な存在」であった。

 だが袖ケ浦に引越してみると「(ハラビロカマキリは)意外に多い」という感じを受けた。2020年シーズンの発見割合はオオカマキリハラビロカマキリ:コカマキリ=40:50:10程度だったろうか(上述の通り、オオカマキリにはチョウセンカマキリを含む場合がある)。だが年による変動も大きいようで、2022年シーズンの目撃比率はオオカマキリ:チョウセンカマキリ:ハラビロカマキリ:コカマキリ=200以上:1:4:2程度となった。2年前に比べると目撃件数が激減しているのが気になる。2023年シーズンは執筆活動に追われて、散歩すらしなかった。このため目撃した例は数例程度のみで、多いか少ないかを述べられる状況ではなかった(ただし相変わらずオオカマキリが多い)。 

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写真1 ハラビロカマキリ。成虫は翅に白い斑紋(写真では左後ろ足の付け根の上にみえる)があるのが特徴。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/250秒, f=8.0、手持ち撮影、内蔵ストロボ発光、トリミングあり。2020年8月23日、千葉県袖ヶ浦市久保田

 

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写真2 晩秋、産卵前でお腹が大きくなった個体。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO200, 1/250秒, f=10、手持ち撮影、トリミングあり。2020年10月31日、千葉県袖ケ浦市久保田

 

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写真3 右の触角がなくなっている。EOS70D, EF-S18-55mmF3.5-5.6 IS STM, ISO400, 1/250秒, f=7.1、手持ち撮影、トリミングあり。2018年10月17日、千葉県袖ヶ浦市久保田

 

写真3 墓石の基部にいたハラビロカマキリの雌。腕(前脚)に見える3つの黄色いイボが本種の特徴だ。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/200秒, f=6.3、手持ち撮影、内蔵ストロボ発光、トリミングあり。2022年10月10日、千葉県袖ケ浦市蔵波

 

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写真4 ハラビロカマキリの幼虫。お尻を持ち上げる姿勢を取るのが特徴。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO200, 1/250秒, f=9、手持ち撮影、内蔵ストロボ発光、トリミングあり。2020年8月8日、千葉県袖ヶ浦市

 

写真5 お尻を持ち上げたハラビロカマキリの幼虫(その2)。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/250秒, f=8.0、手持ち撮影、内蔵ストロボ発光、トリミングあり。2022年8月17日、千葉県袖ヶ浦市蔵波

 

写真6 お尻を持ち上げたハラビロカマキリの幼虫(その3)。写真5の個体をほぼ真横から撮影したもの。後脚の付根付近で胴を曲げていることがわかる。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/250秒, f=8.0、手持ち撮影、内蔵ストロボ発光、トリミングあり。2022年8月17日、千葉県袖ヶ浦市蔵波

 

写真7 年末近くの晴れた日、電柱に2匹とまっていたうちの1匹。12月17日に生きている個体を観察できたという日付が重要。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO200, 1/250秒, f=8.0、手持ち撮影、トリミングあり。2023年12月17日、千葉県袖ヶ浦市蔵波

 

【黒褐色個体】

 2022年11月09日にJR長浦駅近くの茂みで黒褐色個体を見つけた。最初は「小太りでやや大き目なコカマキリ?」と一瞬思ったが、翅の白い紋様や腕についているイボの数から直ぐにハラビロカマキリの黒褐色個体と断定した。2年ほど前にお尻をピンと持ち上げた黒いカマキリの2令幼虫をこの近所で見かけているので、この周辺には黒褐色系統のものが生息しているのかもしれない。

写真8 ハラビロカマキリの黒褐色個体。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO200, 1/200秒, f=8.0、手持ち撮影、トリミングあり。2022年11月09日、千葉県袖ヶ浦市久保田

 

写真9 写真7と同一個体。日が陰ってしまった。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/250秒, f=8.0、手持ち撮影、内蔵ストロボ発光、トリミングあり。2022年11月09日、千葉県袖ヶ浦市久保田

 

写真10 写真7,8の撮影場所からは直線で約800m離れた高さ2.5mほどの樹の幹にいた褐色個体。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/640秒, f=9.0、手持ち撮影、トリミングあり。2022年11月19日、千葉県袖ヶ浦市久保田

 

【卵嚢】

 11月ごろから産卵しているようだが、産卵中の個体はまだ見たことがない。卵嚢の長さは30~35mm程度、横幅は20mm程度か。高さ0.5~1m程度(自分の目線よりやや下)の木の表面や板戸、土塀などに産み付けられているものを見かける。

写真11-1, 11-2 樹の幹の1mほどの高さに産み付けられたハラビロカマキリの卵嚢。写真は2枚とも同じ卵嚢を写したもの。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO200, 1/250秒, f=8.0、手持ち撮影、トリミングあり。2023年12月17日、千葉県袖ヶ浦市長浦拓

 

【参考:ムネアカハラビロカマキリ(外来種)】

 近年、各地で発見報告が相次ぐ外来種のムネアカハラビロカマキリだが、袖ケ浦では2020-2022年シーズン中には見つけていない(このため紹介する写真も無い)。捕まえて胸(前胸部、鎌足の付根付近から腹部まで)を見ると赤紫色から褐色になっているのが特徴。また国内種のハラビロカマキリは前脚腕部分に乳白色から黄色の「イボ」が3~5つ程度あるのに対し、ムネアカハラビロカマキリではギザギザになっている。

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写真12 こちらはハラビロカマキリで、その前腕には3~5個のイボがある。成虫の翅(背中)にある白い斑点はハラビロカマキリの特徴の一つだ。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/250秒, f=8.0、手持ち撮影、内蔵ストロボ発光、トリミングあり。2020年9月8日、千葉県袖ヶ浦市

以上