千葉県袖ケ浦市周辺の生物など

千葉県袖ケ浦市や内房エリアの動植物のお話など。鉄道やヒコーキもあります。

オオカマキリ

<編集履歴> 2020年5月27日公開、2023年12月17日見直し更新(第10回目、写真追加)

 

 国内肉食性昆虫の代表、オオカマキリ。あまりに有名なので詳細はWikipediaでも見てください(と、冒頭から他力本願モード全開)。

 袖ケ浦市周辺では例年5月10日前後にオオカマキリの幼虫が姿を現しはじめ、6月末ごろには3齢幼虫の姿が見られるようになる。8月10日前後には成虫となり、10月中旬ごろから産卵をはじめ、11月末ごろには姿を消す。稀に年明けごろまで生き延びる個体も存在するようで、私自身は東京上石神井で2016年1月6日に民家のベランダにいたオオカマキリを見つけたことがある。

 袖ケ浦市周辺では2005年前後にはオオカマキリの姿をほとんど見かけなくなった時期があったが、病気か何かの原因(草刈りによる卵塊の撤去、農薬散布など)による増減の波があるのだろうか。

【近所における初令(1令)幼虫初見時期】

2020年5月27日以前

2021年5月16日

2022年5月06日

2023年5月10日頃(明確な記録なし) 5月26日には公園のツツジの葉の上に緑色の15mm程度の幼虫がいる脇で60匹ほどの初令(1令)幼虫(6~7mm程度、茶色)の集団が葉の表裏にとまっていた。ここ1両日程度の間に孵化したものだろうと考えている。

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写真1 トップライト気味の光の中で背景をできるだけ落として撮影。横680ピクセルで張り付ける。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/125秒, f=8.0。手持ち撮影、トリミングあり。2020年6月27日、千葉県袖ヶ浦市長浦

 

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写真2 全長7~8mm程度の1令幼虫。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/250秒, f=9.0、内蔵ストロボ発光、手持ち撮影、トリミングあり。2021年5月16日、千葉県袖ヶ浦市久保田。

 

写真3 1令幼虫をもう一枚。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/250秒, f=9.0、内蔵ストロボ発光、手持ち撮影、トリミングあり。2022年5月6日、千葉県袖ヶ浦市久保田。

 

 全長が12~17mm程度の幼虫(恐らく2令)は5月中旬から最終週ごろには目にするようになる。正確な記録は残してこなかったが2023年5月26日には目にした幼虫の半数以上がこの程度の大きさになっていた。背中にくすんだ赤黒い模様を残すが、緑色になっているものも多い。

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写真4 5月末に見つけた2齢幼虫。Pentax Optio WG-1, ISO400, 1/1500秒, f=4.6, 手持ち撮影。トリミングあり。2020年5月27日、千葉県袖ヶ浦市

 

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写真5 オオカマキリ褐色個体の3齢幼虫 Pentax Optio WG-1, ISO400, 1/100秒, f=3.8。 手持ち撮影。トリミングあり。2020年6月12日、千葉県袖ヶ浦市

 

 カマキリなど全長の長い昆虫の撮影時にはとにかく眼にピントを合わせることに専念する。絞りを絞り込めば被写界深度が深くなり、ピントの合う範囲が広くなるが、マクロレンズではない普通の中望遠ズームを使って撮影し、かつほぼ最接近域での被写界深度なんてタカが知れている。

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写真6 オオカマキリの3齢幼虫か?EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/160秒, f=11、手持ち撮影、トリミングあり。2020年6月26日、千葉県袖ヶ浦市

 

袖ケ浦市における成虫の初見時期】

 2020年8月10日

 2021年8月17日

 2022年8月14日(7月後半から不在がちで観察が遅れた)

※2020年10月31日にはお腹の大きな雌個体や、交尾中の個体を目にしている。

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写真7 オオカマキリの成虫。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/125秒, f=8.0。内蔵ストロボ発光、手持ち撮影、トリミングあり。2020年8月29日、千葉県袖ヶ浦市

 

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写真8 ツンツン突いてイジメていたらキレて威嚇するオオカマキリ。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO200, 1/250秒, f=10、手持ち撮影、トリミングあり。2020年10月31日、千葉県袖ヶ浦市

 

写真9 水路沿いの道路脇にいたオオカマキリ。特記するような個体ではないが、年末になっても、まだ見ることができたという撮影日が重要。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO200, 1/250秒, f=8.0、内蔵ストロボ発光、手持ち撮影、トリミングあり。2023年12月17日、千葉県袖ヶ浦市蔵波

 

オオカマキリの卵嚢】

 袖ケ浦市内では10月中旬ごろからオオカマキリの産卵が行われる。茂みや植樹の辺縁部、地表から50~150cm程度の細い枝に産卵することが多いようだが、この条件は晩秋から翌春ごろまでに行われる剪定の対象となる若木・若枝が生えている部分と重なることが多い。観察・撮影対象として目をつけていた卵嚢の大部分(ほとんど全て)はこの時に切り取られてしまう。袖ケ浦市においてはオオカマキリの保護なんぞはしなくとも十二分な個体数が存在しているのだが、例えば公園の剪定を行う部分を全公園面積の四分の三に抑え、四分の一は常に手を付けずにローテーションさせることで「保護エリア」を確保し、「生物多様性の維持」(というより人間との共生というか、住宅エリアに身近な自然教育の場を残すという名目と公園管理予算の実質的削減)につながるのではないか・・・などとぼんやりと考えている。

写真9 ツツジの植栽の中に産み付けられたオオカマキリの卵嚢。撮影しやすい位置にあったので孵化の観察対象としようと考えていたが、翌春には剪定され無くなってしまった。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO200, 1/400秒, f=10、手持ち撮影、トリミングあり。2020年11月19日、千葉県袖ヶ浦市久保田

 

オオカマキリとチョウセンカマキリ】

 本記事中に紹介した「オオカマキリ」の中には、よく似たチョウセンカマキリが混じっているかもしれない。チョウセンカマキリはオオカマキリと似ているため、写真を撮っただけでは区別できない事が多いのだ。識別点は次の通り。

(1) オオカマキリの前脚(鎌)の付け根はくすんだ黄色あるいは地色(茶色や緑色)。チョウセンカマキリは鮮やかなオレンジ色だ。

(2)オオカマキリの後翅は全体的に黒紫色。チョウセンカマキリはほぼ透明(薄茶色)だ。

 なお2020年秋には袖ケ浦市内で捕まえられる成虫を捕まえては翅の色を確認していたが、大部分が黒紫色のオオカマキリであった。唯一、10月21日になって初めて後翅が透明なチョウセンカマキリを見ることができた(写真なし)。2021年のシーズンには撮影した個体は可能な限りは上述の翅の色と前脚の付根の色を確認して分類した。

 2020年シーズンの写真にはチョウセンカマキリが混在している可能性があるので、これは!と思える写真が混じっているのを見つけましたらご指摘いただければ幸いです。

 

【参考】カマキリのオンライン図鑑。見分け方の写真がある。

https://www.konchukan.net/pdf/kamakiri/HSK_kamakiri_zukan.pdf

以上