<編集履歴> 2020年03月19日公開、2023年09月21日見直し更新(第15回目、2023年まとめ)
ツクツクボウシMeimuna opaliferaは袖ケ浦市長浦駅周辺で普通に見られる体長30mm程度の小型のセミだ。日本標準和名(日本語の名称)は「・・・ホウシ」ではなく「・・・ボウシ」と濁るので注意する。出現時期は他のセミに比べて最も遅く、例年8月になるころから(お盆の前くらい)が普通。このため、ツクツクボウシが鳴きだすと「そろそろ夏も終わりか」という気分になる。9月中旬以降も細々と鳴き声が聞こる。
【鳴いていた時期】
2020年8月10日~9月30日 (数匹)
2021年7月14日(一匹だけの狂い鳴き?)、7月30日(数匹)~10月3日(1~2匹)
2022年7月20日(一匹だけの狂い鳴き?)~9月28日(9~10月は日中の不在日が多く期間の確認は不正確)
2023年07月10日(朝8時、一匹だけの狂い鳴き?)~9月21日(以後、観察継続中)
※2021~2023年の状況から7月10日前後には「誤って」羽化してしまうヤツが1匹は発生しているといって良さそうだ。羽化の主流は8月10日前後からだろうか。
写真1 ツクツクボウシ。Pentax Optio WG-1, ISO400, 1/15秒, f=4.4。2016年8月11日、千葉県袖ケ浦市長浦駅前
【ヒグラシ(成虫)との識別点】
ツクツクボウシと同じ時期に同じような場所で見かける似たようなサイズのセミにヒグラシがいる。細かいことをいえばアチコチ違うのだけれど、見かけた場合の識別点は概ね次の通りだろうか。
・大きさはほぼ同じなので、慣れていないとパッと見た目は違いが判らないが、実際は以下の点も同時に認識するので気にならない(要は”見慣れてください”、”目を肥やしてください”ということか)。
・頭の幅(目の位置)はツクツクボウシの方が頭の幅が広いので顔つきがやや柔和な感じがする(主観ですね)。
・透明な翅の先端部付近に黒斑が2つある(ヒグラシは翅の中央付近に4~5か所、翅の後端部先端に5~6か所くらい、合計で10か所程度の黒斑がある)
・体の下半分が青灰色に見えることが多く、このため全体的にも青灰色っぽく見えることが多い。(ヒグラシはツクツクホウシより茶色っぽく見えることが多い)
・ヒグラシほど頭胸部黒色と緑色の紋様が目立たない。(ヒグラシは黒と緑の紋様が目立つ。また目の後ろで左右を分ける緑色の縦筋が特に目立つ)
・鳴き声は明確に異なります。ツクツクボウシは「オーシンツクツク、オーシンツクツク(全部で4~5回程度繰り返し)、(終了時)オイオース、オイオース、ジュ~~~っ!」という感じ。ヒグラシは「カナカナカナ・・・」あるいは「ケーケケケケ・・・」という感じでしょかね。
写真2 ツクツクボウシの雄。上からだと「青灰色」には見えないね!透明な翅の先端(止まっている時、尾部先端より先)に2つの小さな黒斑があることがヒグラシとの識別点だ。EOS70D, EF70-20mmF4L IS USM, ISO400, 1/200秒, f=8.0、内蔵ストロボ発光、手持ち撮影。トリミングあり。2021年8月31日、千葉県袖ケ浦市長浦駅前
写真3 比較のためにヒグラシ(雄)の写真も掲載しておく。翅の付け根から頭部先端までが絞られていることで額が狭く精悍に見えること、頭胸部の紋様がハッキリしていること(特に緑色の縦筋で左右に分割されているように見えること)、透明な翅の中央部と後縁部に片翅あたり10か所程度の小さな黒斑が見えることがツクツクボウシとの主な識別点だ。また全体的に茶色っぽく見える。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/200秒, f=9.0、内蔵ストロボ発光、手持ち撮影。トリミングあり。2021年8月5日、京都府るり渓温泉
写真4 ツクツクボウシの雌。尾部先端に2mm程度の長さの産卵管が見える。雄とは明らかに形状が異なるので識別できる。こちらもやっぱり「青灰色」には見えないね!上述の識別点の記載表現を変えようかしらん?EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/200秒, f=9.0、内蔵ストロボ発光、手持ち撮影。トリミングあり。2021年8月31日、千葉県袖ケ浦市長浦駅前
写真5 こちらはツクツクボウシの雄。お腹からお尻付近への絞り込みの形が雌とは異なる。オ~シンツクツクと鳴いていて、お尻に産卵管が無ければ雄と思っていればよい。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/200秒, f=8.0、内蔵ストロボ発光、手持ち撮影。トリミングあり。2022年8月23日、千葉県袖ケ浦市長浦駅前
【余談】
2021年シーズンは8月30日になっても「撮れる位置にいるツクツクボウシ」に出会っておらず、一枚も写真を撮っていない。最近では近所で毎日大合唱しているが、「いる(生息している)」のと「撮影できる」のとは全く別次元の話なのだ。
・・・などと書いた翌日(31日)、意を決して近所の公園で2時間ほどかけてひたすらツクツクボウシの写真撮影を行った。目撃した個体数は14匹、撮影できた個体4匹。同じ時間内に見つけたアブラゼミは1匹のみ(不鳴)、ミンミンゼミは1匹(不鳴)、ヒグラシとニイニイゼミは見つけることができなかった。この間、十数匹の蚊を”撃墜”したが、肌の露出した部分は刺されまくってしまった(注:昆虫撮影の際には原則として虫よけスプレー等は使用しない)。(2021年9月1日記)
以上