千葉県袖ケ浦市周辺の生物など

千葉県袖ケ浦市や内房エリアの動植物のお話など。鉄道やヒコーキもあります。

ムカデ(トビズムカデ)

<編集履歴> 2021年10月17日公開、2023年4月18日見直し更新(第2回目、写真追加)

 

 ムカデは「嫌われる身近な生物」の上位に属する生物だろうか。ちなみに私の考える「嫌われる身近な生物」とはゴキブリ、毛虫(主にドクガやイラガのように毒々しい色彩や触ったら痛そうな毛のあるヤツ。チャドクガのように集団でいるのも嫌)、でっかい芋虫(大抵はスズメガの幼虫)、ムカデにヤスデ、ナメクジ辺りだろうか。長く都会に生活する人と緑地帯近隣に住んでいる方や農業従事者では感覚がかなり異なるとは思うが、大体はこんなモンだろう。

 国内には数種類のムカデがいるが、嫌われるムカデの代表はトビズムカデ(鳶頭百足)だろう。まず大きい。頭の先から尻尾まで8~15cm程度ある(ちなみに私自身がよく目にするのは10cm程度のものが多く、13~15cm程度の大きな個体はこれまで数回しか見たことがない)。また色がイヤらしい。個体差が大きいといわれるが、おおむね朱色の頭と脚を持ち、胴体の色はくすんだ緑から黒緑色だ(なお鳶色(赤茶)の頭を持つのでトビズ・・・の和名のもとになっている)。さらに脚が多くて見た目が気持ち悪いだけでなく、毒腺を持つ大きな顎で噛まれるとかなり痛いという。ちなみに日本語では「ムカデに刺される」と表現することもあるが、生物学的には前述の通り「噛まれている」状態だ。毒棘や毒毛があるワケではない。

 袖ケ浦市内の栗林脇にあるオンボロ安アパートに2000年前後の一時期住んでいたが、ここでは時々15cmを超えるようなトビズムカデが入ってきた。壁を這っているのはデフォルトで椅子に座ってパソコンを使っていると足を這いあがってくるとか、洗濯を終えて洗濯槽の底を見ると洗われたヤツがくたばっていたなんてコトもあったっけ。

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写真1 12~15cm程度のかなり大きなトビズムカデ。農薬にやられたのだろうか?目立った外傷はないが田んぼ脇の路上で体を伸ばして動かなくなっていた。1対の鰐足、20対の脚と1対の尻尾が確認できる。標本的な写真を撮るには手ごろであった。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/100秒, f=7.1。内蔵ストロボ発光、手持ち撮影、トリミングあり。2021年7月3日、千葉県袖ケ浦市久保田

 

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写真2 低木の枝の間に見える多数の脚。おっ!トビズムカデだ!!EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO200, 1/250秒, f=9.0。内蔵ストロボ発光、手持ち撮影、トリミングあり。2021年10月15日、千葉県袖ケ浦市久保田

 

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写真3 低木の枝を這い上がる全長10cm程度のトビズムカデ。全身像はこの1枚しか撮影できなかった。こちらも20対の脚(および1対の尻尾)が確認できる。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO200, 1/250秒, f=9.0。内蔵ストロボ発光、手持ち撮影、トリミングあり。2021年10月15日、千葉県袖ケ浦市久保田

 

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写真4 葉の上に姿を現したトビズムカデ。角度が悪いので葉に触れて角度を調整しようとしたらポロリと落下して下草の中に逃げられてしまった。写真1に比べて脚が赤っぽいが、色調の個体差は大きいという。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO200, 1/250秒, f=9.0。内蔵ストロボ発光、手持ち撮影、トリミングあり。2021年10月15日、千葉県袖ケ浦市久保田

 

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写真5 路上で踏みつぶされて死んでいた10cm程度のトビズムカデ。全身像がよく判るので参考として撮影したもの。脚は20対(および1対の尻尾)。写真1に比べて平べったく見えるのは、やはり踏みつぶされたからか?トビズムカデの身体は硬そうに見えるが触ると意外に柔らかい。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO200, 1/250秒, f=9.0。内蔵ストロボ発光、手持ち撮影、トリミングあり。2021年6月24日、福岡県中間市中間

 

写真6 道路を横断中のトビズムカデ。全長10cm程度。移動速度は意外に早く、ブレたりピンボケとなることが多い。築城基地F-2を撮影するためのポイントに移動中に見つけて夢中になり、3機ほど撮り逃したが個人的には満足・・・。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO100, 1/250秒, f=8.0。内蔵ストロボ発光、手持ち撮影、トリミングあり。2023年4月17日、福岡県築上町築城基地脇)

 

【余談】

 韓国や中国の市場に行くと乾燥させた体長20cm程度のトビズムカデを20~50匹程度を「一束」にまとめて売っている。大きさも数も揃っているので「養殖」しているのだろうなぁ。ちなみに国内製薬メーカーのサイトを見ると、「殺虫剤の効果を確認するために用いるムカデの飼育の際にはエサとしてゴキブリを与えている」という内容の記述が見られる。それなりの条件を整えてやれば安定して大量飼育することは可能ということだろう。

以上