<編集履歴> 2022年11月20日ツチガエルのタイトルで公開、2023年3月13日見直し更新(第1回目、タイトルをヌマガエルに変更し、記載内容見直し)
本記事は当初「ツチガエル」として書いていたが、読者指摘に基づいて見直した結果、2023年3月13日に「ヌマガエル」へと更新し、内容を修正した。
さてヌマガエルFejervarya kawamuraiは小型(29-54mm程度)で茶色(土色)のカエルだ。東海、紀伊半島、北近畿から山陰、四国、九州など西日本方面に分布しているが、近年では飛び地的に関東平野各地でも見られるようだ。ツチガエルと似ているがその識別点は次の通り:
(1) 背中の正中線に沿って1本のスジがある。だけどこれが無い個体も結構高頻度でみつかっている。さらに言えばツチガエルでも正中線上にスジ(淡色縦条)を持つものもいる。これだけでは識別できないじゃん?
(2)目と目を結ぶV字型の紋様がある。
(3)ひっくり返すとお腹は白い。ツチガエルはまだら模様があるので「汚く」見える。上から写真を撮るだけでは分からんネ。
(4)背中のイボはツチガエルより小さいか目立たない。比べないと分からないヨ!
上記の識別点を写真1のカエルに当てはめてみると(2)のV字型紋様の有無のみがポイントとなる。写真の個体の両目の後ろ半分付近に何やら黒い紋様があるが、これが繋がってV字となっているかどうか・・・?画像ソフトで明るさやコントラストを変えてみたが「なんとなく繋がって直線もしくは開いたV字・・・かもしれない」程度にしか分からなかった。
そこで改めてネット上に掲載されているツチガエルとヌマガエルの写真を片っ端から眺めて「目を慣らす」。同様の撮影アングルの写真や色や背中の模様とイボの大きさから判断して、どうやらツチガエルではなくヌマガエルだったようだ。指摘していただいた方も述べられている通り、捕まえてひっくり返せば一目瞭然なのだが、撮影時にはそこまでやっている時間的余裕は無かった。
今一つ決定打に欠けるのだけれど「目と目の間のV字紋様(?)」と「見た目の感じ」で「ヌマガエル」と判断する。(ツチガエルでは無さそうだ、との感じもある)
写真1 JR西日本の伯備線美袋(みなぎ)駅近くの水路でみつけた20mm程度のヌマガエル。周囲には同じ程度の大きさの小さなヌマガエルが数多くいたが、列車の時間が迫っていたので一枚だけ撮影して駅に向かった。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/320秒, f=8.0。手持ち撮影、トリミングあり。2022年8月8日、岡山県総社市JR美袋駅周辺
【余談:ツチガエル】
ツチガエルGlandirana rugosaはヌマガエルとよく似ていると言われる。日本国内に広く生息しており、主に黒灰色で背中にブツブツ(イボ)の多くある3~5cmの大きさになるカエルだ。実際、私自身もこの記事を書いて読者からの指摘を受けるまでは間違っていることに気づかなかった。「国内に広く生息している」と書いておきながら、私自身は袖ケ浦市内の日常の散歩コース周辺ではまだ確認したことがない。
1970年頃の東京・杉並区の和田堀公園周辺でイボイボのある(ヒキガエルとは明らかに異なる)土色のカエルを採って遊んだ記憶がある。当時から”ツチガエル”と言っていたが、本当にツチガエルだったのか、それともヌマガエルであったのかは分からない。例えば公園に置いてある「日の丸を描いたプロペラ機」を全て「ゼロ戦」と言っていたり、空を飛ぶ「軽飛行機」は全て「セスナ機」と言っているようなものかもしれない。ただヒキガエルやアカガエルに比べると、あまり見つけることのできない、小学生当時の自分にとっては宝物クラスのカエルであった。なお前述の通りヌマガエルは「”近年”関東地方でも見られるようになった」そうなので、半世紀前に見つけたのは「ヌマガエル」ではなく、たしかに「ツチガエル」だったのかもしれない。
ヌマガエルが関東地方で確認されるようになったのはいつ頃からなのか、文献等を確認してみるのも面白いかなぁなどと考えている。おそらく調べるほどの時間は無いが、自分への宿題として書き残しておこう。
【参考】
「日本のカエル 分類と生活史」松井正文、誠文堂新光社(2016)
「日本のカエル48 偏愛図鑑」迫野貴大、河出書房新社(2020)
ツチガエルとヌマガエルの見分け方 - 広島大学デジタル博物館
https://www.nara-edu.ac.jp/cnee/kaerhebi/hikaku/hikaku.htm
その他「ヌマガエル」で検索をかけて出てきた写真多数
以上