千葉県袖ケ浦市周辺の生物など

千葉県袖ケ浦市や内房エリアの動植物のお話など。鉄道やヒコーキもあります。

袖ケ浦市のナナフシ(総論)

<編集履歴> 2023年6月26日公開、2023年6月28日見直し更新(第1回、記事内容見直し追記)

 

 日本国内、主に本州以南にて数種類の存在が確認されているナナフシだが、私の住んでいる千葉県袖ケ浦市内ではこれまでにナナフシモドキ、ニホントビナナフシ、トゲナナフシ、タイワントビナナフシの四種類のナナフシを4月頃から11月ごろまでの間に確認している。Twitter上で全国的には発見報告の比較的多いシラキトビナナフシ、ヤスマツトビナナフシ、エダナナフシは市内で見たことがない。南西諸島エリアに生息する種類も同様、袖ケ浦市内では見たことがない。

 本記事は袖ケ浦市内でこれまでに撮影できた種類の総論的なまとめを記すこととする。個別の種類のナナフシの詳細についてはそれぞれ個別記事を設けているので、どうかそちらを参照してください。

 

【千葉県袖ケ浦市で見ることのできたナナフシ類】

(1) ナナフシモドキ: 市内の高台(丘陵部のなれの果て)周辺ではメジャー種だ。 毎年同じような場所とその周辺で見つけることができる。小櫃川北部に広がる水田エリアでは見たことがない。ちなみにナナフシモドキの千葉県内での目撃例を主にTwitterでの投稿から探してみると、松戸、市川、千葉市内、成田山新勝寺にて目撃例があるようだ。都心への通勤者の多いエリアでは住民人口が多く、これに比例してTwitter上の発言数も多くなるものと考えているが、房総半島中央部や内房ならば本記事で記載する袖ケ浦市以南では目撃報告がほとんど見つからない。発信する人がいないのだろう。上述の鴨川市天津には東京大学千葉演習林があるため、恐らくはナナフシモドキの生息を確認しているものと思うが、文献等で明記したものはまだ読んだことがない(文献を探してもいないというのが実情だ)。まぁ、とにかく、千葉県内の里山から中央の丘陵・低い山のエリアでは宅地化されたエリアや水田エリアを除いて「千葉県内なら、どこでも見られる昆虫」だろうと思っている。

ナナフシモドキ(その1,2020年版) - 千葉県袖ケ浦市周辺の生物など

ナナフシモドキ(その2、2021年対応版) - 千葉県袖ケ浦市周辺の生物など

ナナフシモドキ(その3、2022年度対応版) - 千葉県袖ケ浦市周辺の生物など

ナナフシモドキ(その4、総括的まとめと2023年以降の話) - 千葉県袖ケ浦市周辺の生物など

写真1 お食事中のナナフシモドキ。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO200, 1/160秒, f=8.0。内蔵ストロボ発光、手持ち撮影、トリミングあり。2021年6月14日千葉県袖ケ浦市久保田

 

(2) ニホントビナンフシ: 市内ではレア種だが、生息場所をみつけると一か所(一本の植樹や一つの茂み)で10匹程度を見ることもあるが、同じ植樹であっても20メートルほど離れると全く見つけることができずにいる。「いる時にはいるが、いない時にはいない」「昨年いたから今年も同じ植樹にいるとは限らない」ヤツだ。6月下旬ごろに成虫をみつける一方で6月中旬ごろには孵化したての20mm未満の幼虫をみつけている。Twitterの投稿においても6月下旬ごろに幼虫をみつけたとの報告が掲載されており、生活史が(私自身は)よく分かっていない。

二ホントビナナフシ - 千葉県袖ケ浦市周辺の生物など

写真2 ニホントビナナフシ。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO400, 1/250秒, f=8.0。内蔵ストロボ発光、手持ち撮影、トリミングあり。2023年6月20日千葉県袖ケ浦市蔵波

 

(3) トゲナナフシ: 全国的には6月下旬ごろから成虫が見られるようになるが、なぜか秋になると見つけやすくなる(Twitter上での発見報告が感覚的に多くなる)。一方で「幼虫をみつけた」というTwitter上での報告は(感覚的に)極めて少ない。私自身の観察経験だけで言えば「袖ケ浦市周辺にいおいては成虫はコカマキリよりも多く見つかる」昆虫だ。

トゲナナフシ - 千葉県袖ケ浦市周辺の生物など

写真3 なかなか見つけにくいが、意外に近所にいるトゲナナフシ。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO200, 1/250秒, f=10。手持ち撮影、トリミングあり。2022年11月8日千葉県袖ケ浦市久保田

 

(4) タイワントビナナフシ: 2020年11月に一匹だけ偶然見つけた。その様子は千葉県立中央博物館の尾崎煙雄先生の執筆により、「房総の昆虫」(千葉県昆虫談話会)No.68(2021年6月発行)p.90に短報「袖ヶ浦市でタイワントビナナフシを採集」として尾崎先生との連名で掲載された。本種の県内分布の確認に足跡を残すことができたことを嬉しく思う。

タイワントビナナフシ - 千葉県袖ケ浦市周辺の生物など

写真 今のところ「我が人生でたった一度の出会い」だったタイワントビナナフシ。二度目の邂逅を目指して探し歩いてはいるのだが・・・。EOS70D, EF70-200mmF4L IS USM, ISO200, 1/250秒, f=8.0。手持ち撮影、内蔵ストロボ発光、トリミングあり。2020年11月13日千葉県袖ケ浦市久保田

 

【関連情報】

1. 千葉県鴨川市天津にて2021年11月10日および11月15日に相次いで「ナナフシモドキの雄」と思われるナナフシが見つかった。千葉県立中央博物館では当初「ナナフシモドキの雄」と発表したが、希少な雄が相次いで発見されるハズがないと再度精査したところ、南西諸島等に生息する「アマミトガリナナフシの雄」であるとの修正発表を行った。本種の記録は千葉県では11年ぶり2例目であり、また本州で本種が確認されているのは千葉県のみとのことだ。この詳細は「月刊むし」No.614(2022年3月25日発売号)にきさいされているというが、私自身は確認していない。(本項は千葉県立中央博物館発信記事や各種報道のネット配信記事より抜粋)

以上